Journal Club
歯科関係者の方へ
「科学的根拠に基づいた治療を実践するために」Journal Club
論文抄読を柱に、質の高い歯科医療を目指す「ジャーナルクラブ」
中原達郎(千葉県開業、Journal Club代表)
Journal Clubとは
去る2012年7月15日、ジャーナルクラブ15周年記念講演会が東京で開催された。
ジャーナルクラブは、スウェーデンのイエテボリボリ大学にてJ.Lindhe教授に師事し、直々に歯周病学を学ばれて帰国された弘岡秀明先生(東京都開業)が、ご自身が経験された日本とはまったく異なる教育観をもって歯周病学コースを開かれたことに始まる。
コースでは年間400本を超える論文を解説し、それら理論的背景に基づき行われた症例が多数披露され、理論と実践とが見事に共存していることを示すという斬新なスタイルで、現在も多くの受講生に刺激を与え続けている。
本会は、コース卒業後も継続的に学習を続けたいという意欲ある有志の声に応える形で、1997年に結成された。
海外留学への道
本会ではスウェーデンをはじめとする海外からも積極的に講師を招聘している。
これまでもB.Rosling、E.Westfelt(歯周病)、PO.Grantz(補綴)I.Ericsson、F.Renouard(インプラント)、G.Bergenholtz(歯内療法)、といった著明な先生方が、我々のために特別な講義をして下さった。
そして今年は弘岡先生の大学院の同級生であるG.Serino先生に、インプラント周囲炎という最も旬なテーマを、ご自身の研究を含む多数のレビューと臨床をもってご講演いただくことができた。
講演後弘岡先生の東北大学大学院臨床教授就任記念パーティーも併せて催されたが、ここでもSerino先生、弘岡先生を交えて多くの質問が飛び交う有意義な懇親会となった。
現在本会からは、イエテボリ大学大学院に2名、Serino先生が勤務するスウェーデンのスペシャリストクリニックに1名が留学して研鑽を積んでいる。
また、EuroperioやEAOといった海外の学会にも日本から参加する会員も多い。
このように、論文に親しむことにより次第に海外に目を向けるようになれることも本会の特徴といえよう。
活動内容
例会は年6回、昨年度から引き続き今年度も古典的な歯周病関連論文を1編、最新のインプラント論文を1編の抄読、会員による症例発表1例、弘岡先生の症例発表および講義という内容で行われており、抄読では単に論文の上っ面のみを読むのではなく、研究の背景を含め深く掘り下げるような読み方を学ぶことができる。
欧米の大学では、論文に対する活発なディスカッションを重ねることで考える力が養われているが、本会でもこのスタイルをそのまま踏襲している。
会員は皆、志を高く持った開業医または勤務医であり、日々の忙しさの合間をぬって論文を読むということには努力と強い意志を要する。
しかし、それを続けることで「なぜ学ばなければいけないか」を強く意識するようになり、そのモチベーションが自身の臨床を大きく成長させるであろうことに疑う余地はない。
例会には会員外の参加も大歓迎である。エビデンスに基づく治療に興味を持たれた方がいらしたならば、ぜひ連絡をいただきたい。
再SRP時行う抗菌薬の局所応用の効果
Cristiano Tomasi, Theofilos Koutouzis, Jan L.Wennstrom. J Periodontal 79(3), 2008;431-439
インプラント周囲炎の外科的治療における抗菌薬の効果
O. Carcuac et al. J Dent Res. 2016;Vol.95(1)50-57
高齢者の歯周治療
Stefan Renvert & G. Rutger Persson, Periodontology 2000,Vol.72, 2016, 108-119
インプラント周囲炎の外科的治療に対するエムドゲインの効果
IsehedC, HolmluntA, et al. J ClinPeriodontol. 2016; 43: 863-873
ドキシサイクリンの局所投与
Garrett, Johnson, Drisko, et al. J Periodontol. 1999 May; 70(5): 490-503
メトロニダゾールとアモキシリンの併用治療
Norbert Cionca, Catherine Giannopoulou, Giovanni Ugolotti, and Andrea Mombelli et al. J Periodintal 2009;80:364-371
Bio-ossで補填した大きな骨欠損部への歯牙移動
M.G.Araujo et al. J Clin Periodontal 2001;28:73-80
矯正力は炎症を伴うインプラトに骨吸収生じるのか?
Gotfredsen K et al. JCP2002
インプラント周囲粘膜炎への非外科処置の有効性
Lisa J. A.Heiz-Mayfield et al. 2011; 22: 237-241
減少した歯周組織のブリッジ支持能力
Sture Nyman, Ingver Ericsson. J Clin Periodontal 1982;9:409-414
実験的に起こしたインプラント粘膜炎と歯肉炎の治癒の比較
Giovanni E. Salvi et al. Clin. Oral Impl. Res. 23, 2012 / 182-190
複数歯のカンチレバーを含むブリッジの長期安定性について
Lars Laurell et al. J Prosthet Dent. 1991; 66: 545-552
実験的に誘発したインプラント周囲粘膜炎のヒトにおける臨床研究
R.pontoriero, M.P.Tonetti, G.carnevale, A.M.monbelli,S.R.Nyman,N.P.Lang
Clinical oral implants research 1994:5: 254-259
重度の歯周病の歯周および補綴治療後の歯内合併症
Bergenholtz G, Nyman S. J Periodontol. 1984 Feb;55(2):63-8.
初期インプラント周囲病変における機械的清掃の併用使用としての局所ミノサイクリンとクロルヘキシジンの効果の比較
Renvert S, Lessem J, Dahlen G, Lindahl C, Svensson M. in Periodontol. 2006 May;33(5):362-9.
インプラント周囲炎の非外科治療
Renvert S, Lindahl C, Roos Jansa ?ker A-M, Persson GR. J Clin Periodontol 2011; 38: 65?73. doi: 10.1111/j.1600-051X.2010.01646.x
クロスアーチブリッジの成功の鍵
Yi SW et al. Acta Odontl Scand.1995